内容証明郵便とは「いつ、誰が、誰に対して、どのような内容の手紙を出した」ということを郵便局が証明してくれる制度です。
内容証明郵便の主な効果は、文字通り"手紙の記載内容の証明"です。
この制度は、主に次のようなことに利用されます。
・裁判の証拠のため
お金を返せと言った内容の手紙を出したと主張しても、これを対外的に証明するのは非常に難しいです。
例えば契約の解除や取り消し、クーリングオフ、消滅時効の中断請求をする場合に口頭や一般の郵便での意思表示では基本的に証拠が残りません。そこで内容証明を用いることによって証拠の保全が図られるのです。
・確定日付を得る目的として
これは、債権譲渡(自分の持っている債権を他人に譲ること)などで使われることが多いです。この債権譲渡を行うには、「債権を誰々に譲渡しました」という趣旨の通知を行う必要があります。
しかし、仮に同じ債権を2重(2人)に譲渡した場合、この確定日付がある通知が優先されるとなっています。どちらも確定日付がある場合は、この日付の早い方とされています。
最近では、クーリング・オフの契約解除通知にも内容証明が用いられますが、これはクーリング・オフ時の通知が発信主義であることが理由です。この場合、解除の意思表示を書面で行ったときに法律上契約が解除されます。クーリング・オフができるのは契約の日から8日以内という決まりがあり、いつ書面を発送したかというのが大変重要になるため、この内容証明を用いることが一般的です。
・心理的な圧迫として
これは、法的効果云々ということではなく、内容証明郵便をもらうことで心理的に圧迫され何らかの行動をしなければならない衝動にかられてしまう状況に持ち込もうという狙いです。主に売掛金や家賃滞納時の内容証明がこれに当たることが多いですが、もちろん後に裁判を考えているのであれば、この督促状は有力な証拠となります。 また副次的には、内容証明という形式のしっかりした書面の使用によって、相手方に対して大きな心理的負担を与える効果も期待できます。
ただし、内容証明自体に法的効力はありません。 特に、以下のような場合には注意が必要です。
1) 相手方に誠意があり、解決できそうな時
このような場合に内容証明を出すと、相手方を怒らせてしまい、逆効果になってしまいます。
2)相手方と関係が深く、今後も付き合いが見込める場合 友人、家族、親族、隣人など、今後も付き合わなければならない相手が相手方の場合は、内容証明を出すとお互いの関係は間違いなく壊れます。
したがって、できるだけ話し合いで解決するべきです。
3) 相手方が倒産しそうな場合
内容証明を出している時間的余裕がありませんので、すぐに裁判手続き(仮差押え、訴訟)が必要です。
内容証明郵便で請求する場合のメリットとデメリットを比較してみましょう。
メリット
安価で相手にプレッシャーを与えることができる
訴訟時の証拠にできる
時効中断の催告となる
デメリット
執行力はない
相手方が受け取らないこともある
無視されることもある